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セッション2 廃棄物管理分野での企業とのパートナーシップ
◎「持続的な廃棄物管理:ムアンクラン市での成功例」(タイ、ムアンクラン市、副市長 トンチャイ・ジラウィワットワニット)

 タイの東部に位置するムアンクラン市は、バンコクから269キロに位置する。面積は14.5㎢、人口1万7197人(2008年)、3309世帯。近隣12自治体の廃棄物処理を担うムアンクラン市は、毎日トラックで40トンのごみを集める。廃棄物の60%は有機廃棄物で、20-30%がリサイクル可能。これを自治体と企業のパートナーシップを通じて効果的に利用することで、1日あたり大型トラック5台分のごみが、小型トラック2台分になり、自治体にも市民にも利益が出るようになっている。

 まず市が家庭、商店、学校、企業からごみを集め、ゴミ分別センターのベルトコンベヤーに流し、ベルトの両側に立つ作業員がリサイクル可能なごみや有機廃棄物を回収する。作業員が回収しなかったごみのみが埋立地へ向かう。センターには家畜がおり、有機廃棄物がえさになる。電気がいらないゴミ処理機だ。そして家畜の排泄物は堆肥、肥料として利用する。また、ミミズ堆肥も作りそれを1キロ20バーツで委託業者等に販売している。有機廃棄物から出た液体はバイオガスにして、食肉処理場や作業員宿舎、木材粉砕機の燃料として活用しているため、エネルギーコストの削減に寄与している。その他、ベルトコンベヤーは屋根に設置した太陽光パネルの動力で動かす。このようにして、市は廃棄物を活用して収入源にする仕組みを確立し、徹底的なごみの活用、コスト削減、環境負荷軽減を行っている。
◎「フィリピンの5地区における生態的廃棄物管理の事例について」(チーム・エナジー社、地域問題マネージャー エセル・セラノ・オシオ)

 フィリピンには島が7107あり、3つの主な島群に分かれている。自治体は州、市、地区(バランガイ)の3種。環境政策では、1989年に持続可能なフィリピン戦略が策定されており、1992年にはこの戦略をフィリピンアジェンダ21として改訂、策定した。5つのテーマのうちの1つが「廃棄物管理」。フィリピンアジェンダ21は国が目的を達成するために、地域行政に対して制度的なメカニズムを与えることができるもので、それにより地域行政は廃棄物管理のプログラムを策定することが求められる。このメカニズムのもと、国・地方政府がさまざまなプログラムを行っているが、法律の施行・準拠レベルは対して高いとは言えない。固形廃棄物管理における自治体と企業のパートナーシップ分野で根拠となる法律はRA9003であり、政府14名、民間3名で構成される国家固形廃棄物管理委員会ができており、推進体制は整っている。

 このような国の体制のもと、フィリピン国内で最大級の独立系発電事業者であるチーム・エナジー社は、国・自治体の固形廃棄物処理委員会、自治体(バランガイ)とパートナーシップを形成して、3年プロジェクトでモデルコミュニティづくりを推進している。

 まず計画段階で、ステークホルダーと初期ヒアリングを行った後、委員会とチーム・エナジー社との間で正式な覚書を交わした。計画策定に関する固形廃棄物管理のオリエンテーションとワークショップを行い、2012年の行動計画を策定。そしてバランガイ決議により、明確な役割・機能と実際の手続きが定められた、固形廃棄物管理委員会と技術ワーキンググループを設置した。このようにして正式な枠組みを作ったのちに、実際に村(バランガイ)のヒアリングとプロファイリング、さらに委員会とともに廃棄物分析や特性評価を行う。その結果を対象バランガイに報告し、モデルコミュニティの視察を行う。これら一連の活動により、何がうまくいっており、何がうまくいっていないのか、また責任の所在を明確にする。現在は、2013年末までに固形廃棄物管理条例が承認されることを目指している。

 課題としては、ステークホルダーが多いため、スケジュール調整が難しいこと。バランガイの職員移動や、地方選挙等のスケジュールに左右される。よって、教育を継続的なものにするのが困難だ。教訓としては、コンサルティング、廃棄物分析と属性評価を通して基本データを明確にすること、若者の参画が重要だということだ。
◎「企業とのパートナーシップによるゼロ・ウェイストのまちづくり」(水俣市、環境モデル都市推進課、課長 久木田一也)
 水俣市は工業都市として発展してきたが、工場排水によって水俣病が発生したことはあまりにも有名。しかしこの経験を通して、環境や健康の大切さ失ったものを取り戻すことの難しさが教訓となった。1992年には教訓をもとに環境モデル都市づくり宣言をし、環境を柱にまちづくりを行っている。廃棄物の取組みで代表的なものは93年から始めた分別収集。現在は24種の分別を行っている。分別することで廃棄物を有効利用し、それを売却することで得られる利益は年間2,000万円を超える。うち1,000万円以上を地域に還元しているため、ごみの分別は地域コミュニティの活性化に役立つといえる。

 環境保全の取組みは評価を得るようになった一方、当初は市民がごみの分別をいくら頑張っても経済に寄与しないとの指摘があった。よって市民の努力を産業に結びつけて価値転換させる必要性があった。平成13年に国からエコタウンの指定を受け、リサイクル環境企業を誘致した。それにより新たな雇用の場も生まれた。

 その一例が、水俣市と民間の共同出資のみなまた環境テクノセンターや、使用済みオイル、家電、タイヤ、びん、建築廃材、アスファルト等のリユース・リサイクル施設がある。これら企業のうち2社が操業停止し、新たにペットボトルと生ごみの施設が操業開始、現在は7社が操業中。

 1992年の宣言から施策を進めてきた結果、2008年には環境モデル都市として認定され、2011年3月にはNGOネットワーク主催の環境首都の称号を獲得した。企業とのパートナーシップのもと積み上げてきた取り組みをもとに、今後もそれを強化し、ゼロ・ウェストに取り組んでいく所存だ。
パネルディスカッション
ファシリテーター:ジャーナリスト・環境カウンセラー、NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長 崎田裕子
◎タイ・ムアンクラン市への質疑応答
Q:廃棄物処理の仕組みの課題や教訓は?A:市には費用の点で多くの制約がある。国のサポートの十分ではない。よって企業との連携が非常に重要になる。Q:ムアンクラン市はタイのどこでもある話なのか、もしくは特別なのかA:特に成功しているといえるだろう。成功の鍵はコミュニケーション、協力、コミュニティの3つだ。


◎フィリピン・チームエナジー社への質疑応答

Q:情報提供や出前講座なども無料で行っているのか
A:行っている。工場見学、発電所の視察のリクエストが良くあるため機会を設けている。学生やNGO等の団体、また他都市にも出前講座を行っている。
Q:そのほかにもプログラムを行っているか
A:今回のプレゼンでは廃棄物に注目しているが、村では住宅、教育、奨学金プログラム、溶接技術等の研修、環境プログラム、マングローブ再生、水資源管理等多くのプログラムを行っている。サステナビリティ報告書も出しているので、詳細はウェブへ。
Q:フィリピンとリオのアジェンダ21の違いは何か。
A:フィリピンアジェンダはリオ21を軸にしているので違いはさほどない。


◎水俣市への質疑応答

Q:市の取り組みでうまくいっている点と課題は?
A:市民には93年に分別を開始してもらい、当初3分別ものを24の分別に。システム自体を市民がきちんと参加できるようなものとして確立し、そこに市民がのっかった。市民の取組みをマスコミが取材し、環境の取り組みとして一定の評価を得た。それまでは下向きであった市民が環境の面で上を向くことができた。それが地域の誇りとなったことが、持続可能性につながっている。また企業については、現在環境を企業・自治体一体となって取り組んでいこうということで円卓会議を設け、環境関連企業や助成団体や市民がアイデアを出したり、みなへら通信(みんなでへらそう)を作って市民に配布したりしている。これにより、よりわかりやすいごみの分別を示すことができている。アイデアから行動まで一緒に取り組むことが大事。
 課題はパートナーシップの継続。企業の業績や自治体の財政によって継続が難しいのが現実。プレゼンで説明したとおり、エコタウンで当初から2つの企業が廃業している。これは入ってくる原料調達が当初予定したものの半分しか入ってこなかったためだ。また、リサイクル品の販売ルートの確立ができなかったことも一因。良い製品でもコスト高だったり販売ルートが思うようにいかない。やはり今後継続していくには住民を巻き込んだ取組みを地域一体となって構築できるか否かが鍵となるだろう。


◎まとめ


 都市化に伴い大量の廃棄物処理が課題になっているのは、どこも同じ。その廃棄物の有効利用は人と金をつなぐことが大切。企業も行政や市民からプロとして利用されるのを待っているので、貪欲に利用してほしい。また、日本と海外の違いは、日本はほとんど市民が分別するのに対して、海外は市民は分別をせずに、行政が税金や企業を使って分別するのが大きな違い。日本のお国柄はある意味では良いことだろう。
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