再生可能エネルギーに関する首長発言 アンケート結果(8.15)
3月11日の未曾有の大震災に端を発した福岡第一原子力発電所の事故は、日本のみならず世界のエネルギー政策の根幹を揺るがすものであった。ドイツを始め、世界でも多くの国がエネルギー供給のあり方を見直しており、再生可能エネルギー推進の風潮が加速している。
そこでイクレイ日本は、原発事故を受けて会員自治体の首長が、その地域の中長期的な政策や考え方についてどのような発言をしているかを中心に、アンケート調査を行った。
- 調査期間:7月29日-8月12日
- 調査対象:イクレイ会員(日本)20自治体
- 有効回答数:16
脱原発・縮原発の相違はあるにせよ、ほぼすべて、再生可能エネルギーを中長期的に推進していく主旨の発言である。再エネの中身は、補助金政策により(他の新エネに比べれば)普及が進んでいる太陽光発電が目立つ。イクレイ会員はいずれも環境先進自治体であることから、311以前より再エネ推進は行ってきた。今後は、それにより一層力を入れ、拡大していく、ということのようだ。その他、太陽熱の利用、太陽光発電の間欠性を補う蓄電池、企業との連携といった発言もあった。
◎会員自治体首長の発言は下記のとおり。(五十音順)
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愛知県:大村 秀章 県知事
「震災後、エネルギーを取り巻く環境は大きく変化しており、今後は住宅用太陽光発電の導入促進に一層力を入れていく一方、メガソーラーを含む太陽光発電やバイオマスなどの利用拡大の可能性を探り、分散型の地域エネルギー・システムの構築について検討していく。」(6月29日、愛知県6月議会本会議にて)
岡山市:髙谷 茂男 市長
「晴れの国と言われる太陽光エネルギーに恵まれている本市としては、市民、事業者、市が連携して、各家庭や事業所に太陽光発電を広げていくことにより、いわば市域全体がソーラー発電所となることを思い描きながら、一層の普及に努めて参りたい。今年度は、新たに市域全体で8メガワット以上の太陽光発電の実現に向け取り組んでいる。」(6月21日、6月市議会本会議にて)
神奈川県:黒岩 祐治 県知事
「最優先で取り組みたい政策は、神奈川からエネルギー革命を起こすことである。今回の大震災を受けて、電力需給の逼迫が大きな課題となり、太陽光など新エネルギーへの展開が急務となっている。そこで、県民の力を結集し、産業政策として経済活性化にもつながる神奈川モデルを創りあげていく。」(4月25日、「知事就任のごあいさつーいのち輝くマグネット神奈川の実現に向けて」より)
川崎市:阿部 孝夫 市長
「川崎のポテンシャルを最大限に活かしながら、環境と経済の好循環に向けて、多様な再生可能エネルギーの開発導入、臨海部の優れた蓄電池技術を有する企業との連携による蓄電対策の強化によるエネルギーの効率的利用、省エネルギー・低炭素技術の研究開発と導入促進等の取組を進めてまいります。」(6月22日、平成23年第3回 市議会定例会にて)
北九州市:北橋 健治 市長
「今すぐに原発全てを止めた場合、日本の経済社会が成り立つかを考え、その地元自治体・住民も納得できる安全対策の指針を示し、動かせる分野は何なのか、そして中長期的には、脱原発であれば、北九州が進めるスマートグリッドの技術と一連の新エネルギーの戦略を、早く確定する必要があると思っている。」(7月4日、市長記者会見にて)
京都市:門川 大作 市長
「原子力は再生可能エネルギーでは直ちに代替できないが,今後においては,再生可能エネルギーの利用拡大,省エネや節電の取組を進め,低炭素型ライフスタイルへと転換することが重要だ。太陽光の本市施設への率先導入,住宅向けの助成・融資により,再生可能エネルギーの利用拡大を積極的に進めていく。」(5月27日、5月市会本会議にて)
熊本市:幸山 政史 市長
「発電過程でのCO2排出量や経済性などの利点がどれだけあろうとも、安全の確保を欠いた原子力発電の推進はありえず、これまで以上に自然エネルギーを推進していく必要がある。今後は、真剣に国民的議論を行ったうえで、次の世代にも永続的に継承できるわが国のエネルギー体系を構築する必要がある。」(6月21日 本会議 市長答弁にて)
神戸市:矢田 立郎 市長
「中長期的には、原子力発電に依存しない、或いは原子力発電を必要としない電力供給体制や再生可能エネルギーの大幅な拡充が必要であると認識している。ただ、国民生活や経済活動への影響が非常に大きなものであることから、今すぐ撤退することは現実的ではないと考えている。」(7月5日、市議会にて)
札幌市:上田 文雄 市長
「私たちは、超高齢社会、人口減少そして原発事故発生後という、かつて経験したことのない時代を迎えるに当たり、過渡的なエネルギーである原子力発電に代わる代替エネルギーへの転換を早急に進めるとともに、ライフスタイルを見直し、新しい生活の在り方を再構築しなければなりません。」(6月9日、第2回定例市議会にて)
仙台市:奥山 恵美子 市長
「エネルギー利用のあり方などについて市民と共に検討し、新しい環境都市づくりを進める。自然エネルギーを利用した「エコモデルタウン」の構築などを通して「省エネルギー・環境先進都市」を目指す。スマートグリッド、メガソーラー等の新エネルギー関連産業の集積を図る。」(5月31日、市長記者会見にて)
東京都:石原 慎太郎 都知事
「節電を機に過剰なエネルギー消費に痛痒を感じない社会や過度の便利さに慣れた生活を見直し、低炭素社会への転換が必要。電力自給能力向上に向け天然ガス発電所の建設に取り組むほか、自家発電設備や家庭への太陽光発電設備普及支援、地域エネルギー供給システム導入促進等、発電装置を分散して配備する。」(6月23日、平成23年第二回都議会定例会(所信表明)にて)
名古屋市:河村 たかし 市長
「自然エネルギーには大賛成。いろんな電力会社が発電コストを競い、一円でも安い電力を提供する方向にしないかん。私は太陽熱温水器の普及に力を入れたい。コストも安く、エネルギー効率もいい。温水器のたくさんある街もええですよ。」(8月1日、定例記者会見にて)
広島市:松井 一實 市長
「今回の福島第一原子力発電所での事故により、原子力発電に対する国民の信頼が大きく失われたと認識しており、原子力発電のあり方や、省エネに配慮したライフスタイル・社会システムなどについて幅広い検討を行い、国民の理解と信頼を得られるよう、今後のエネルギー政策の早急な見直しを国に求める。」(国要望資料より)
藤沢市:海老根 靖典 市長
「本市ではパナソニック工場跡地に太陽光発電・蓄電池を導入するスマートシティ計画や市内全小・中学校に太陽光発電システムを導入するなど、積極的に再生可能エネルギーを導入しており、今後も本市の環境に合わせてエネルギーの地産地消を目指し、先行して推進していく考えである。」(6月26日、公開シンポジウム「太陽経済かながわ会議」にて)
武蔵野市:邑上 守正 市長
「原発は大変リスクが大きいので、代替エネルギー転換の方向に向け、国を挙げて取り組む課題である。ただすぐには難しいので、まず原発の安全確認を徹底することが大事である。安全確認のため、浜岡原発を停止したのは正しい判断だったと考えている。」(6月市議会委員会にて)
山梨県:横内 正明 県知事
「国においては、クリーンエネルギーの全量買取制度など、新エネルギー戦略の検討がなされている中で、県内へのメガソーラー発電所の立地に対する民間企業の関心が高まっている。このため、市町村とも連携して、メガソーラー発電所としての適地を選定した上で、民間企業の誘致を具体的に検討していく。」(7月6日、県議会6月定例会 予算特別委員会にて)


