世界の都市における気候変動適応策づくりの進展-MIT調査報告(2012.5.25)
世界中の自治体が、気温の上昇や自然災害などの避けることのできない気候変動の影響に備え始めています。この動きの進捗状況や課題を把握するため、イクレイとの協力のもと、マサチューセッツ工科大学(MIT)が行った世界的なアンケート調査の結果を「都市の気候変動適応策の進捗状況と課題」として発表しました。
調査にご協力していただきました自治体には、深く感謝いたします。
調査にご協力していただきました自治体には、深く感謝いたします。
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報告書要旨の概訳
なぜこの調査が必要だったのか
地域での気候変動適応策に関する情報や手法は、多くの場合ほんの一握りの都市や他の分野の経験から得られた見識によるものがほとんどである。世界 の自治体で進められている適応策づくりの実態を把握し、自治体が用いている手法や抱えている課題を解明するために、イクレイ会員自治体にアンケートが送付された。合 計で468の自治体(44%)が40問全ての質問に回答し、最もイクレイ会員の多い米国自治体からの回答が過半数を超えた。
気候変動に対する認識
回答した79%の世界中の自治体が、過去5年間で、気候変動に起因すると思われる気温や降雨、海面の水位、自然災害などの変化を感じていると報告 している。さらに、ほぼ半数の回答自治体が気候に関する変化に起因する影響を受けていると回答しており、災害による自治体の財産への損害がその影響の中で最も多くの自治体が感じている影響であった。人間への影響もアジア、ラテンアメリカ、アフリカの自治体において出ており、気候変動によると思われる災害で死 者が出ていると報告している。
気候の影響評価
約19%の自治体が、気候変動の影響評価を終えており、おおよそ同じ数の自治体が現在評価を実施している最中である。地域的には、アフリ カ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダが最も評価を進めており、米国では13%と最も低い。ラテンアメリカとヨーロッパでは、それぞれ45%と 40%の自治体が評価を実施中である。アジアでは、評価を行っている都市は少ないが、42%の自治体が評価の実施を計画している。回答した自治体におい て、豪雨による雨水流出の増加が近い将来最も対応が必要となると回答されており(65%)、豪雨時の雨水管理の必要性がほとんど同じ割合(61%)で続い ている。
都市の適応策づくり
気候変動に対する認識が高まりその影響が評価されることによって、多くの都市で適応策づくりが始まっている。世界の68%の自治体が適応策づくりを進めており、ラテンアメリカとカナダの自治体で最もその割合が高く(95%と92%)、米国が最も低かった(59%)。自治体は それぞれ、適応に関する様々な段階での取り組みを行っている。例えば、37%がまだ準備段階にあり、その反面18%はすでに適応策の導入段階にある。ただし、すでに導入段階にあると答えている自治体の多くは、適応策という新たな計画を立てるのではなく、土地利用や沿岸域計画など既存の計画に関連させている可能性が高い。
4つのタイプの適応に関する取り組みが最も普及しており、調査に回答したほとんどの自治体がイニシアティブ作りの初期段階にいることを反映してい る。これらの取り組みは、(1)適応に関連する自治体内の部署との会議、(2)ウェブや文献を使った適応に関する情報収集、(3)適応策づくりを支援する 委員会やタスクフォースの結成、(4)NGOや他都市、企業、市民グループなどとの協力関係の構築、である。
適応策づくりの課題
自治体は、適応策づくりを進める上で、多くの課題があると報告している。世界的に、最も多く報告された3つの課題は、(1)適応策のための資金の 確保、(2)公選された役職者や関連部署に適応策の必要性を伝えること、(3)地域レベルで適応策を進めるための課題に対して、国政府からの働きかけや認 識を得ること、である。資金不足や自治体内および国政府による低い認識は、自治体が適応策を大きく前に進めにくくしている。多くの自治体では、適応策を各 部署での施策や基本計画などに統合しようとしているが、ここでも資金不足や政策的なサポートが弱いことによって、思うようには進められていない。
結論
自治体は、資金不足と自治体内および国政府からの適応策に対する低い認識という二重の課題に直面している。多くの場合、自治体は同じ分野でのネッ トワークや、試験的な取り組みを行いながら見識を得ることができる。しかし、調査結果から、市長や議員の関与や、国政府による認識抜きでは、計画 作りやその導入を早めることは困難であることが分かった。資金や情報は重要であるが、市長や議員からの関与は、適応策づくりを進め、その導入を進めるため には必要不可欠である。
地域での気候変動適応策に関する情報や手法は、多くの場合ほんの一握りの都市や他の分野の経験から得られた見識によるものがほとんどである。世界 の自治体で進められている適応策づくりの実態を把握し、自治体が用いている手法や抱えている課題を解明するために、イクレイ会員自治体にアンケートが送付された。合 計で468の自治体(44%)が40問全ての質問に回答し、最もイクレイ会員の多い米国自治体からの回答が過半数を超えた。
気候変動に対する認識
回答した79%の世界中の自治体が、過去5年間で、気候変動に起因すると思われる気温や降雨、海面の水位、自然災害などの変化を感じていると報告 している。さらに、ほぼ半数の回答自治体が気候に関する変化に起因する影響を受けていると回答しており、災害による自治体の財産への損害がその影響の中で最も多くの自治体が感じている影響であった。人間への影響もアジア、ラテンアメリカ、アフリカの自治体において出ており、気候変動によると思われる災害で死 者が出ていると報告している。
気候の影響評価
約19%の自治体が、気候変動の影響評価を終えており、おおよそ同じ数の自治体が現在評価を実施している最中である。地域的には、アフリ カ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダが最も評価を進めており、米国では13%と最も低い。ラテンアメリカとヨーロッパでは、それぞれ45%と 40%の自治体が評価を実施中である。アジアでは、評価を行っている都市は少ないが、42%の自治体が評価の実施を計画している。回答した自治体におい て、豪雨による雨水流出の増加が近い将来最も対応が必要となると回答されており(65%)、豪雨時の雨水管理の必要性がほとんど同じ割合(61%)で続い ている。
都市の適応策づくり
気候変動に対する認識が高まりその影響が評価されることによって、多くの都市で適応策づくりが始まっている。世界の68%の自治体が適応策づくりを進めており、ラテンアメリカとカナダの自治体で最もその割合が高く(95%と92%)、米国が最も低かった(59%)。自治体は それぞれ、適応に関する様々な段階での取り組みを行っている。例えば、37%がまだ準備段階にあり、その反面18%はすでに適応策の導入段階にある。ただし、すでに導入段階にあると答えている自治体の多くは、適応策という新たな計画を立てるのではなく、土地利用や沿岸域計画など既存の計画に関連させている可能性が高い。
4つのタイプの適応に関する取り組みが最も普及しており、調査に回答したほとんどの自治体がイニシアティブ作りの初期段階にいることを反映してい る。これらの取り組みは、(1)適応に関連する自治体内の部署との会議、(2)ウェブや文献を使った適応に関する情報収集、(3)適応策づくりを支援する 委員会やタスクフォースの結成、(4)NGOや他都市、企業、市民グループなどとの協力関係の構築、である。
適応策づくりの課題
自治体は、適応策づくりを進める上で、多くの課題があると報告している。世界的に、最も多く報告された3つの課題は、(1)適応策のための資金の 確保、(2)公選された役職者や関連部署に適応策の必要性を伝えること、(3)地域レベルで適応策を進めるための課題に対して、国政府からの働きかけや認 識を得ること、である。資金不足や自治体内および国政府による低い認識は、自治体が適応策を大きく前に進めにくくしている。多くの自治体では、適応策を各 部署での施策や基本計画などに統合しようとしているが、ここでも資金不足や政策的なサポートが弱いことによって、思うようには進められていない。
結論
自治体は、資金不足と自治体内および国政府からの適応策に対する低い認識という二重の課題に直面している。多くの場合、自治体は同じ分野でのネッ トワークや、試験的な取り組みを行いながら見識を得ることができる。しかし、調査結果から、市長や議員の関与や、国政府による認識抜きでは、計画 作りやその導入を早めることは困難であることが分かった。資金や情報は重要であるが、市長や議員からの関与は、適応策づくりを進め、その導入を進めるため には必要不可欠である。


