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ドイツ・ハム市の持続可能なまちづくり
旧炭鉱施設と施設に設置された太陽光発電装置。装置脇には、電気自動車の充電設備も備える。(2010年11月 ハム市エコセンターにて撮影)
炭鉱施設跡地。炭鉱施設の一部の冷却塔跡地を池に用途転換している(写真右手前)。
 このたび訪れたハム市は、ドイツ西部のノルトライン・ヴェストファーレン州のほぼ中央、ルール地方の北東に位置する人口約18万人、面積約220平方キロメートルの郡独立市である。ヴェストファーレン平野に立地するハム市の中央をリッペ川が横断し、市東部の旧炭鉱に繋げるための運河が流れる。ハム市及びその周辺は、もともと農業が主流であり、鉱石から鉄を取り出すための燃料に使用していた石炭が地下に豊富に存在したため、19世紀以降炭鉱のまちとしてドイツの石炭産業を牽引した。

 ハム市及びその周辺都市においては、炭鉱産業衰退後、ヨーロッパ石炭鉄鋼連盟から得た補助金などを元手に、複数の行政、公社、地域の大学などが連携し、水辺に自然を修復したり、公園などの憩いの場を創出したり、汚染された土壌を封じ込めたり、炭鉱施設を給水塔・商業施設・ビオトープなどに用途転換を図ったり、もしくは炭鉱施設に省エネや再生可能エネルギーを導入して利用転換を図ったりするモデルプロジェクトを行うことで、新たな産業とともに雇用と緑の空間を創出し、エコロジカルな都市へ脱却した。まちの再生により残された歴史的建造物や創出された緑の空間は、文化財や日常における憩いの場としてその地域の環境的価値を高めることで、環境都市としてブランド化が図られ、地域一帯が環境と経済の調和したまちとして、多くのまちのお手本となっている。地域の活性化を目的に始まったまちづくりの過程で自然が再生されたハム市の事例からは、自然を保全・再生・創出し、多様な生きものを守っていくことが持続可能なまちづくりの形成につながることが示唆されている。

 ハム市のまちづくりは、地域参加が基本であり、企業、学校、幼稚園、NGOなど様々な機関と行政がワーキンググループを形成し、開発の意思決定の場に計画段階から参加させる仕組みを作っており、地域社会の多種多様なニーズにマッチしたまちづくりを推進している。ドイツでは、ハム市に限らず、このような地域参加が教育の場でも行われており、例えば公園の設計や造園作業に子どもを参加させ、よりニーズにあった公園づくりを模索するなど、子どもの自主性やモノを大切にする心を培っている。子どもの自発的な行動を誘発する教育は、子ども自らが公園に太陽光発電を設置したいと提案するなど、省エネ意識の醸成にも一役買っている。

 ドイツが環境政策で世界をリードしているのは、このように市民が参加し、市民の声がうまくまちづくりに取り入れることのできる仕組みが行政の政策決定の場に備わっているからであり、市民の環境保護への高い意識が国の環境政策にも影響を与えているためといえる。このたびの訪問において、地域における温暖化対策や生物多様性にかかる取組を介して、人と人との絆が築かれ、それが国の政策を動かすという構図がドイツ全土で培われていると感じた。
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