ICLEI Local Governments for Sustainability
About ICLEI
ホーム イクレイについて 会員 サポーター 事業 サービス ニュース&イベント お問合せ
spacer
<ジノ・ヴァン・ベギンの「基調講演「COP16からCOP17へ~自治体から見た評価とその動き~」要旨>
イクレイ世界事務局 ジノ・ヴァン・ベギン事務局次長
 予想に反してコペンハーゲンでは各国の正式な合意が得られず、カンクンでは合意形成に対する期待値が下がった感は否めない。とはいえ、イクレイとして国連COPの場を過去5年ほど追ってきた経験から言うと、国連レベルで合意形成を取り付けるのは想像を絶する大仕事である。参加国は192。その合意文書は一字一句句読点に至るまで全参加国が受け入れる必要がある。気候変動のテーマは科学、経済等内容が多岐に渡る。暫定的ではあるがいくつかの重要な合意がなされたことについては、メキシコの采配を評価したい。

 COPには多くの特別作業部会があるが、最も重要なのが「気候変動枠組条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会(AWG-LCA)」及び「京都議定書の下での附属書I国の更なる約束に関する特別作業部会(AWG-KP)」である。詳細については省略するが、この二つの作業部会で重要なのは、途上国にどのように技術移転するのか、また財政措置を施すかの合意形成である。多くの主要国がそれぞれの誓約(削減目標)を持っているが、それを足し算してもまだ十分ではない。

 ここでなぜ自治体が必要なのか。過去20年で世界人口の半数が都市部に住むようになった。20年後にはこれが70%以上になる。また、世界の消費エネルギーの73%が都市部の活動によるものとの報告もある。温暖化問題を作っているのは都市であり、一方で気候変動に対して革新的なアプローチで問題に資することができるのも都市である。都市にはリーダーシップ、法的能力、資金、そして何より住民との直接のつながり(影響力)がある。これが産業(企業)とは違うところである。

 2007年バリ合意に、自治体への言及はなかった。そこで、都市は政府のパートナーであることを国に情報発信し続けた結果、カンクンで自治体が気候変動に立ち向かう行動主体の1つであることが初めて認められた。カンクン合意の文面には地方政府の取組みについての言及が多数なされていた。国連側も将来のCOP会議において、政府のステークホルダーとして自治体を巻き込むことに合意している。

 国は削減目標即ちコミットメントを示す必要があるのだが、近年、コミットメントを示すだけでは十分ではないと認識され始めている。例えば発展途上国の気候対策に資金を拠出する国がある場合に、そのプロジェクトが本当に成果の上がるものなのかを判断するため、MRV即ちそのプロジェクトの効果が測定、報告、検証されなければならないという考え方が浸透してきている。言いかえれば、透明性が求められているのである。

 昨年11月、カンクン会議の1週間前にメキシコシティで世界気候首長サミットを行い、1億7,000万の住民を代表する世界130以上(2011年2月現在146)の自治体がメキシコシティ協定に署名した。日本からは名古屋市が出席・署名し、京都市も署名参加している。メキシコシティ協定では、各自治体が対策を透明性のあるものにするということが合意されている。この透明性を確保するために、自治体は都市気候レジストリに登録する。

 検証については、国レベルでもまだ制度が固まっているわけではないが、報告、登録の精度は確立している。都市気候レジストリは、これを自治体で実施しようというものである。都市気候レジストリは初の、自治体による国際登録メカニズムであり、間接的に各国政府に対する情報提供の助けにもなる。測定は、現状を把握し、取るべき政策を計画する助けとなる。報告は、関係各所の意思決定を助ける。すなわち、報告された内容に基づいて意思決定ができるということである。このことにより、意思決定の透明性を増すことができる。測定・報告の形が整うと、次なる段階として検証が必要になる。検証ができなければ、外部資金調達や排出量取引にはつながらない。

 さて、この測定・報告・検証活動を、何故都市がやらなければならないのであろうか。もちろん、都市がどのような対策を取り、何を目標とするかによっても、MRVの関わり方は違ってくるが、1つは、問題に関する認識を高めることが可能になるということである。成果が上がっているか、よりよい政策を実施しているか、途中で調整の必要はないかなどが、MRVによって可能になる。また政策選択肢が複数あるとき、MRV可能な政策は、優先順位が高くなる。すなわち、MRVは政策に優先順位をつける上でも役立つ。

 またそれが途上国の都市であれば、国際機関や中央政府から資金調達することもあろうが、MRVがきちんとできていれば資金提供も受けやすい。

 COP17に向けては、イクレイはメキシコシティ協定署名都市にとどまらず、全会員を活性化していく所存である。究極的には、自治体レベルでの取組、プロジェクトをパッケージとして国連に対して、情報提供していく。そしてその中には国際的な資金拠出がふさわしい取組もあるということを、積極的にアピールしていく予定である。
spacer
Search
 
spacer